虹の学校に初めて訪れたのは2016年の冬。それ以来、虹の学校の大ファンになってしまい、毎冬ボランティアをさせていただいております。虹の学校の子供達と学校の環境と大自然の虜になって僕の人生を根底から揺るがしたのは確かです。 今でも忘れないのが、到着した日に、夕食のおかずがないから、探しにいくということから始まりました。日本や今現在僕が住んでいるイギリスであれば外食したり、スーパーマーケットに行けば、ありとあらゆる選択肢の中から食材を選ぶことが出来ます。そんな常識が一気に崩されて、ついた先は沼。綺麗に咲いているハスの茎を今晩のおかずにするとの事で、子供たちは飛び込んでは次々に手で取っていきました。僕も続いて沼に飛び込みヌルヌルとした底を辿々しく歩きながらハスの茎取りを手伝いました。その夜の、オイスターソースで炒めたハスの茎は自分で取ったのもあり、とても美味しかったのを覚えています。さらにその夜の集会が終わって自由時間になった時に、子供達はお互いに向き合って手遊びを始めました。ジャンケンやあっち向いてホイっなどを何度も何度も繰り返して遊ぶのです。気付いたら40分も経っていました。都会の子供であれば、きっとテレビをつけたりスマートフォンで遊ぶのであろうと思いますが、そんなモノがない虹の学校の子供たちに懐かしい手遊びを思い出させてくれました。 その最初の衝撃の虹の学校の出会いからインスピレーションを受け、僕の中でもいろいろな活動が生まれていきました。例えば、虹の学校の子供達は当時年末に近くのサンカブリにあるモン橋という橋の上で路上ライブをして募金を募り学校の資金の足しにしていました。そのアイデアを活かして、ロンドンに戻った時に、路上ライブを始めました。一月だったのでとても寒く天気も悪い日々でしたが、また虹の学校へ戻ることを目的として、バイオリンを引き続ける日々を過ごしました。一年続けた結果、20万円ほど貯まり、またタイに戻ることが出来ました。普段だったら、路上ライブなんて考えもしませんでしたが、虹の学校の経験から新しいことを始め、さらにお金を入れてくれている沢山の人々の優しさに気づくこともできた一年でした。 さらに、僕が専門としているのはダンスやパフォーマンスであるので、子供達にも何か教えてあげたいという気持ちが募ってきました。2017年に戻った時はダンスに使えるスカーフやゴムバンドなどを持っていき、小さな子供から大きな子供まで一緒に参加できるようなダンスを一緒に楽しみました。そして2018年には子供たちとダンス映像の作品を作りました。国籍も身分証明もない子供たちは海外旅行も出来なければ、許可証がなければ今いる地域からも出られません。そんな子供たちの代わりにダンス映像が世界を旅して放映されればな、という夢を託して作りました。その映像はアメリカ、カナダ、イギリスで放映されました。 虹の学校が今では半分生きる目的のようにもなっています。その理由は沢山あります。まず、これからの未来を担う子供たちが、無国籍という事実から自分たちの夢見る職業につくのが難しいことにあります。この事実は心を痛めます。もう21世紀であるのに、まだその様な不平等な状況に置かれた子供たちがいるという事実の深刻さです。日本人として、地球人としてあってはならないと感じ、責任感を感じます。そして虹の学校の子供たちやその地域に住む人々が持つ生き抜く力とエネルギーです。こんなに深刻な状況に置かれていても、親元を離れていたり、親がいないのに、子供たちは明るく毎日元気に暮らしています。もちろん弱音を吐いたり、悲しくなることも人間だからあると思います。でも彼らの目を見ると、そこに都会で疲れ切った人たちにはない輝きがあります。その輝きは、精一杯生きている美しさだと僕は思います。先進国や都会の環境は人間が求めてきた理想の状況を作り上げたと思います。電車や自動車で簡単に移動ができ、飽きないくらい選択肢に溢れたモノ、食べ物。ピカピカに磨かれた綺麗な住まいの環境に困ったらすぐに駆け付けられる医療機関。でも、それって本当の豊かさでしょうか?ここまで完璧な環境が出来上がっているのに、不平不満を述べ、満たされていない人生を送っている人はまだどれだけいるでしょうか?僕は20代半ばまで日本で暮らしてきていて、常に何か物足りなさを感じて生きていました。その物足りなさをどうしてなのか自問する時間もテレビやインターネットを見る時間で埋め尽くし、本当に大切なことと向き合ってこなかった気がします。 2018年に訪ねた時、ちょうど稲刈りの時期でお手伝いする機会をいただきました。稲刈りの鎌は鋭く、子供達はどんどんと刈っていき、一人取り残されて焦りを感じました。その時、小指をぐっさりと深く切りつけ、血がとめどなく流れました。するとすぐにアウンが走って行って小川の側に生えていた薬草を取ってきて小指に当ててくれました。そうしたら不思議な事に痛みは一気に消えていきました。アウンの優しさとその土地に密着しているからある知識とで心が満たされました。人への思いやりや心配り、そしてすぐに移す行動力は豊かな心の持ち主だと思います。モノの豊かさとは関係なく、心の豊かさを子供達から毎回訪ねるたびに感じるのです。ボランティアで何か子供達にしてあげたいと虹の学校に毎年通っていますが、救われているのは僕自身である事に気がつきました。 最後に、この学校を支えてくださっているとこ先生、ゆうすけさん、そして先生たちにはいつも尊敬の眼差しで見ております。ボランティアで行くと2、3週間ほどの滞在なので、氷山の一角しか経験していないと思います。現実はもっと大変なこともあり、数えきれない苦労も沢山あると察します。笑顔と愛情で見守っている虹の学校の大人の方々には脱帽です。この感想を読んでいただいている方は、ぜひ一度虹の学校を訪ねてください。そして子供たちと、先生たちと時間を過ごしてください。朝、かかる濃い霧の中で深く緑の深呼吸をしてみてください。夜、子供達と火を囲んで無数に輝く星を眺めてみてください。きっともっと豊かになって言葉では表せられない満ち足りた気持ちにであうと、僕は信じています。これからもよろしくお願いします。 (2020年1月滞在) ・鄭瑛淳さんの感想 ・益子歩鞠さんの感想 ・厚東芳樹さんの感想 ・井ノ上すみれさんの感想
虹の学校に初めて訪れたのは2016年の冬。それ以来、虹の学校の大ファンになってしまい、毎冬ボランティアをさせていただいております。虹の学校の子供達と学校の環境と大自然の虜になって僕の人生を根底から揺るがしたのは確かです。
今でも忘れないのが、到着した日に、夕食のおかずがないから、探しにいくということから始まりました。日本や今現在僕が住んでいるイギリスであれば外食したり、スーパーマーケットに行けば、ありとあらゆる選択肢の中から食材を選ぶことが出来ます。そんな常識が一気に崩されて、ついた先は沼。綺麗に咲いているハスの茎を今晩のおかずにするとの事で、子供たちは飛び込んでは次々に手で取っていきました。僕も続いて沼に飛び込みヌルヌルとした底を辿々しく歩きながらハスの茎取りを手伝いました。その夜の、オイスターソースで炒めたハスの茎は自分で取ったのもあり、とても美味しかったのを覚えています。さらにその夜の集会が終わって自由時間になった時に、子供達はお互いに向き合って手遊びを始めました。ジャンケンやあっち向いてホイっなどを何度も何度も繰り返して遊ぶのです。気付いたら40分も経っていました。都会の子供であれば、きっとテレビをつけたりスマートフォンで遊ぶのであろうと思いますが、そんなモノがない虹の学校の子供たちに懐かしい手遊びを思い出させてくれました。
その最初の衝撃の虹の学校の出会いからインスピレーションを受け、僕の中でもいろいろな活動が生まれていきました。例えば、虹の学校の子供達は当時年末に近くのサンカブリにあるモン橋という橋の上で路上ライブをして募金を募り学校の資金の足しにしていました。そのアイデアを活かして、ロンドンに戻った時に、路上ライブを始めました。一月だったのでとても寒く天気も悪い日々でしたが、また虹の学校へ戻ることを目的として、バイオリンを引き続ける日々を過ごしました。一年続けた結果、20万円ほど貯まり、またタイに戻ることが出来ました。普段だったら、路上ライブなんて考えもしませんでしたが、虹の学校の経験から新しいことを始め、さらにお金を入れてくれている沢山の人々の優しさに気づくこともできた一年でした。
さらに、僕が専門としているのはダンスやパフォーマンスであるので、子供達にも何か教えてあげたいという気持ちが募ってきました。2017年に戻った時はダンスに使えるスカーフやゴムバンドなどを持っていき、小さな子供から大きな子供まで一緒に参加できるようなダンスを一緒に楽しみました。そして2018年には子供たちとダンス映像の作品を作りました。国籍も身分証明もない子供たちは海外旅行も出来なければ、許可証がなければ今いる地域からも出られません。そんな子供たちの代わりにダンス映像が世界を旅して放映されればな、という夢を託して作りました。その映像はアメリカ、カナダ、イギリスで放映されました。
虹の学校が今では半分生きる目的のようにもなっています。その理由は沢山あります。まず、これからの未来を担う子供たちが、無国籍という事実から自分たちの夢見る職業につくのが難しいことにあります。この事実は心を痛めます。もう21世紀であるのに、まだその様な不平等な状況に置かれた子供たちがいるという事実の深刻さです。日本人として、地球人としてあってはならないと感じ、責任感を感じます。そして虹の学校の子供たちやその地域に住む人々が持つ生き抜く力とエネルギーです。こんなに深刻な状況に置かれていても、親元を離れていたり、親がいないのに、子供たちは明るく毎日元気に暮らしています。もちろん弱音を吐いたり、悲しくなることも人間だからあると思います。でも彼らの目を見ると、そこに都会で疲れ切った人たちにはない輝きがあります。その輝きは、精一杯生きている美しさだと僕は思います。先進国や都会の環境は人間が求めてきた理想の状況を作り上げたと思います。電車や自動車で簡単に移動ができ、飽きないくらい選択肢に溢れたモノ、食べ物。ピカピカに磨かれた綺麗な住まいの環境に困ったらすぐに駆け付けられる医療機関。でも、それって本当の豊かさでしょうか?ここまで完璧な環境が出来上がっているのに、不平不満を述べ、満たされていない人生を送っている人はまだどれだけいるでしょうか?僕は20代半ばまで日本で暮らしてきていて、常に何か物足りなさを感じて生きていました。その物足りなさをどうしてなのか自問する時間もテレビやインターネットを見る時間で埋め尽くし、本当に大切なことと向き合ってこなかった気がします。
2018年に訪ねた時、ちょうど稲刈りの時期でお手伝いする機会をいただきました。稲刈りの鎌は鋭く、子供達はどんどんと刈っていき、一人取り残されて焦りを感じました。その時、小指をぐっさりと深く切りつけ、血がとめどなく流れました。するとすぐにアウンが走って行って小川の側に生えていた薬草を取ってきて小指に当ててくれました。そうしたら不思議な事に痛みは一気に消えていきました。アウンの優しさとその土地に密着しているからある知識とで心が満たされました。人への思いやりや心配り、そしてすぐに移す行動力は豊かな心の持ち主だと思います。モノの豊かさとは関係なく、心の豊かさを子供達から毎回訪ねるたびに感じるのです。ボランティアで何か子供達にしてあげたいと虹の学校に毎年通っていますが、救われているのは僕自身である事に気がつきました。
最後に、この学校を支えてくださっているとこ先生、ゆうすけさん、そして先生たちにはいつも尊敬の眼差しで見ております。ボランティアで行くと2、3週間ほどの滞在なので、氷山の一角しか経験していないと思います。現実はもっと大変なこともあり、数えきれない苦労も沢山あると察します。笑顔と愛情で見守っている虹の学校の大人の方々には脱帽です。この感想を読んでいただいている方は、ぜひ一度虹の学校を訪ねてください。そして子供たちと、先生たちと時間を過ごしてください。朝、かかる濃い霧の中で深く緑の深呼吸をしてみてください。夜、子供達と火を囲んで無数に輝く星を眺めてみてください。きっともっと豊かになって言葉では表せられない満ち足りた気持ちにであうと、僕は信じています。これからもよろしくお願いします。 (2020年1月滞在)
・鄭瑛淳さんの感想
・益子歩鞠さんの感想
・厚東芳樹さんの感想
・井ノ上すみれさんの感想