■虹の学校の目標
・生きる力を育む 

子供たち全員の国籍取得は虹の学校の大切な目標の一つですが、子供たちの境遇と2021年現在の制度では非常に厳しい状況にあるのが現実です。時代と共に少しずつ進展しているとはいえ、取得できる時期・可能性は不明瞭なことから、虹の学校では国籍の有無や所在に関わらず、「生きる力を育む」ことを大きな目標としています。

 

・地域、世界を思い未来を担える人材育成 

日々の生活・教育活動を通して、次代に思いを馳せ今を生きることができる人材育成を目指しています。


・山岳民族/地域文化の保存・継承 

虹の学校では農機具の保存・活用や、伝統的な稲作、森合宿を通して学ぶ狩猟採集の生活、竹細工、伝統の機織り、言語などを村の方々に講師となってもらい学習の機会を設けることで希少な山岳民族の文化の保存継承に取り組みます。


・教育を軸に地域/国際、双方に寄与する学習センター

虹の学校では今後も未就学児童・貧困家庭の支援を継続しながら、地域の伝統・生活文化の保存・継承、就学経験が不十分な人たちへの学習機会の提供、WSや講習の場として、また、外国人ボランティアの受け入れ、オンラインでの国際交流および学習、自然体験を軸とした体験型研修施設として、「虹の学校の子供たち」「地域の方々」「世界の方々」が刺激しあい成長していく、拠点としての「学習センター」を目指します。

カリキュラム

月曜日から木曜日までは、タイ語、算数、英語、理科、社会、家庭科、テクノロジー、保健体育、図工、音楽、日本語を学び、読み書き計算と基礎的な教養を身につけ、自分の関心のある分野を学習できる基礎を養います。
金曜日は『レインボーデイ』=子供達が自分でやりたこと、挑戦したいことを選んで挑戦する日を設けています。図画工作、ダンス、料理、音楽、演劇、スポーツ、読書など、子供達はその時に関心のあることにトライします。自分は何が好きなのか、何が得意なのか、何をしている時が幸せなのか、何を学んでいきたいのか、それらを自らの力で見つけ出すことが初等教育の大切な課題だと考えます。

ESD(Education for Sustainable Development)

虹の学校は、国連の推奨するESD(Education for Sustainable Development)をカリキュラムに取り入れています。SDGsについての基本的知識を学び、エコブリックでの椅子づくりや洗剤づくり、テンペづくりなど身近な問題からアプローチを続けています。ESDの授業を通し、虹の学校が目指す持続可能な生き方の模索実践がさらに促進されることを期待します。

虹の学校 授業

生活

虹の学校は全寮制です。子供達は先生やスタッフの補助を受けながら身の回りのことのほとんどを自分自身でこなします。また、当番制で掃除や料理・畑の水やり・草刈り・製品づくりなどの仕事を毎朝夕おこないます。共同生活の中で、将来の自立に向けての訓練と精神的な成長を目的として、協力しながら生活をしています。また、放課後の自由時間はそれぞれ思い思いに過ごします。校庭で先生とサッカーやバレーボールをしたり、 ダンスの練習をしたり、駆け回って遊んだり、ギターの練習をしたり、宿題に取り組んだり、読書をしたり。勉強と仕事を終えたこの時間が最も開放的でみんなが大好きな時間です。また、休日は身の回りの整頓や掃除洗濯を終えたら、自由に過ごします。のんびり過ごしたり、バンドの練習や今熱中していることに取り組みます。午後には川遊びに出かけることが多く、これもみんなが楽しみにしている時間のひとつです。

虹の学校 生活

稲作

虹の学校では自分たちの⻝料を可能な限り自給できるように努めています。稲作は7-8月に田植えをし、11月-12月に収穫をします。昔ながらの手作業での労働は、時間も労力もかかりますが、村の方達に当地の稲作文化を教わりながら、一丸となって労働して穫れるお米は格別です。広大な自然の中での労働は、子供達の精神を穏やかにするとともに、心身ともに強く鍛えてくれます。何年も経験を積んだ子供達は、今では大人顔負けの働きを見せてくれます。

虹の学校 稲作

森合宿

虹の学校が大切にしている課外活動の一つである森合宿は乾季の3月に、5泊6日で行います。米と最小限の調味料を持参し、あとは魚や動物の狩猟、野草の収穫によって⻝料を確保します。また竹の籠づくりや様々なアスレチック、キャンプファイヤーを行います。山岳⺠族の大工さんたちの指導のもと、森の中で生きる力を養い、偉大な森への畏と敬意の気持ち、人間に本来備わった動物的な感覚を育くむと同時に、民族文化の継承を目的としています。子供達は年に一回の森合宿をとても楽しみにしています。

虹の学校 森合宿

大運動会

大運動会は毎年末に3日間かけて行います。村の子供たちや海外(主に日本)からの参加者も合わせると総勢約100名近くが奮闘する大運動会で、二組に分かれ、様々な競技を競います。マラソン、サッカー、ドッジボール、ピンポン、バドミントン、ポートボール、徒競走、リレー、セパタクロー、チア合戦などなど。3日間、汗まみれ埃まみれになりながら、 スポーツを楽しみ、スポーツマンシップ、団結力、友情を育みます。運動を通して、子供達の健全な心身の成⻑を促すと共に、地域・海外からの来校者の方々と親しみのある交流をする良い機会として大切な行事となっています。

虹の学校 大運動会

バンコク遠征

12月初旬に有志の子供達をバンコクに連れていき、特別体験をする機会を作っています。バンコクで活動している劇団サザン天都様の演劇鑑賞、ボイストレーニング、モデル体験、リトミック体験、ヨガレッスンなど、子供たちの夢を応援するための企画を盛り込んでいます。また、宿泊はバンコク在中の日本人のお宅にホームステイさせてもらい、日本人の生活スタイルや日本人とのコミュニケーションを学びます。3泊4日のバンコク遠征は、多くの方に支えのもと成り立っています。おかげさまで子供たちは大興奮の経験をし、世界観、価値観を広げ、新たな夢を描くことができてきています。

 

2018年第一回目実施

2019年第二回目実施

2020年 covid-19の影響で中止

虹の学校 バンコク遠征

ミュージカル

2017年末、校長の念願であったミュージカルがプロダンサーのボランティアの方の来校によって実現しました。演じるのは有志の子供達、演目は「虹の戦士」。ネイティブアメリカンの物語を基につくられたオリジナルの台本 と歌には虹の学校からのメッセージが込められています。来校くださった方々に披露し、公演を重ねるごとに物語のバージョンアップ、子供達の演技・歌唱・ダンスによる表現のレベルアップを図っています。この他にも2020年には「泣いた赤鬼」「くまのこウーフ」の2作品が追加され、村の保育園にて初公演をおこないました。ミュージカルの活動を通して、表現する楽しさを知り、より表現力に磨きをかけて欲しいと願っています。 

虹の学校 ミュージカル